ポリマーでよく使われる用語をまとめています。
あ行
- アニオン重合(Anionic polymerization)
負に帯電したアニオン種を開始剤として用いる重合反応。リビング重合の一種。 - アモルファス(Amorphous)
結晶構造を持たず、不規則に分子が配置された固体状態。透明性や柔軟性に影響を与える。 - イオン重合(Ionic polymerization)
イオン性の活性種(アニオンまたはカチオン)によって進行する重合反応。 - 引張強度(Tensile strength)
材料が引っ張られる際に耐えられる最大応力。 - インプリンティング法(Imprinting method)
特定の形状や分子をポリマーに刻み込む手法。
か行
- 開環重合(Ring-opening polymerization)
環状化合物を開環させながらモノマーを連結する重合反応。ポリ乳酸(PLA)などの合成に用いられる。 - 架橋(Crosslinking)
高分子鎖同士が共有結合で結ばれ、三次元網目構造を形成すること。ゴム弾性や耐熱性を向上させる。 - 可塑剤(Plasticizer)
高分子材料の柔軟性を向上させるために添加される低分子化合物。 - 結晶性ポリマー(Crystalline polymer)
分子鎖が規則正しく配列し、結晶構造を持つポリマー。機械的強度や耐熱性が高い。
さ行
- 酸化防止剤(Antioxidant)
ポリマーの酸化劣化を防ぐために添加される化合物。 - 射出成形(Injection molding)
溶融したプラスチックを金型に射出し、冷却固化させて成形する加工法。 - 重合(Polymerization)
モノマーが結合してポリマーを形成する反応。 - 樹脂(Resin)
高分子化合物のうち、加熱成形が可能なものを指す。天然樹脂と合成樹脂がある。 - 生分解性プラスチック(Biodegradable plastic)
微生物によって分解される性質を持つプラスチック。ポリ乳酸(PLA)やポリヒドロキシアルカノエート(PHA)などが代表例。
た行
- タクチシティ(規則性)(Tacticity)
高分子鎖内の側鎖の配置の規則性。アイソタクチック(等規則)、シンジオタクチック(異規則)、アタクチック(無規則)の3種類がある。 - 耐熱性(Heat resistance)
高温環境下で物性を維持できる能力。 - 単量体(モノマー)(Monomer)
高分子を構成する基本単位となる低分子化合物。
な行
- ナノコンポジット(Nanocomposite)
ナノメートルスケールの無機物を高分子中に分散させた複合材料。機械的強度や耐熱性の向上が期待される。 - 熱可塑性樹脂(Thermoplastic resin)
加熱すると軟化し、冷却すると再び硬化する樹脂。ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などが代表例。 - 熱硬化性樹脂(Thermosetting resin)
加熱によって硬化し、再加熱しても軟化しない樹脂。エポキシ樹脂やフェノール樹脂が代表例。
は行
- バイオプラスチック(Bioplastic)
再生可能資源を原料とする、または生分解性を持つプラスチック。 - ブロック共重合体(Block copolymer)
異なる種類のモノマーがブロック状に連結した共重合体。 - フィラー(Filler)
ポリマーの機械的特性やコストを調整するために添加される充填材(炭酸カルシウム、シリカなど)。 - 分子量(Molecular weight)
高分子の分子の質量。数平均分子量(Mn)や重量平均分子量(Mw)で表される。
ま行
- マトリックス樹脂(Matrix resin)
複合材料の母材として使用されるポリマー樹脂。 - メルトインデックス(MI)(Melt index)
熱可塑性樹脂の流動性を示す指標。
や行
- 誘導体化(Derivatization)
ポリマーの特性を調整するために官能基を導入すること。
ら行
- ラジカル重合(Radical polymerization)
フリーラジカルを活性種とする重合反応。多くのビニル系ポリマーの合成に用いられる。 - リビング重合(Living polymerization)
反応停止がほとんど起こらず、重合度の制御が容易な重合。 - レオロジー(Rheology)
高分子の流動特性や変形挙動を研究する学問分野。
わ行
- ワニス(Varnish)
樹脂を溶剤に溶かした塗布可能な液体。絶縁材料やコーティングに使用される。
A~Z
- ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene resin)
アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの共重合体で、耐衝撃性・剛性・加工性に優れた樹脂。 - Addition Polymerization(付加重合)
二重結合を持つモノマーが開裂して連結する重合反応。 - BPA(Bisphenol A)
ポリカーボネート(PC)やエポキシ樹脂の原料となる化合物。 - Block Copolymer(ブロック共重合体)
異なるモノマーがブロック状に配列した共重合体。 - Copolymer(共重合体)
2種類以上のモノマーから構成されるポリマー。 - Crystallinity(結晶性)
ポリマーの分子鎖が規則正しく並んでいる度合い。 - Dendrimer(デンドリマー)
放射状に分岐した特徴的な高分子構造を持つポリマー。 - Dispersion(分散)
ポリマー中にフィラーやナノ粒子を均一に分散させること。 - Elastomer(エラストマー)
ゴムのように弾性を持つ高分子材料。 - Epoxy Resin(エポキシ樹脂)
硬化剤と反応して硬化する熱硬化性樹脂。 - Filler(フィラー)
機械的特性やコストを調整するために添加される充填材。 - Flame Retardant(難燃剤)
ポリマーの燃焼を抑制する添加剤。 - Gel Permeation Chromatography(GPC, ゲル浸透クロマトグラフィー)
高分子の分子量分布を測定する分析手法。 - Glass Transition Temperature(Tg, ガラス転移温度)
高分子がガラス状からゴム状へ転移する温度。 - Hydrogel(ハイドロゲル)
水を大量に含むことができる三次元架橋構造を持つポリマー。 - Ionomer(アイオノマー)
一部のモノマー単位がイオン性の官能基を持つ共重合体。 - Injection Molding(射出成形)
プラスチックを金型に射出して成形する工法。 - Living Polymerization(リビング重合)
重合停止がほとんど起こらず、分子量制御が可能な重合反応。 - LCP(Liquid Crystal Polymer, 液晶性ポリマー)
液晶状態を示す高分子で、耐熱性や強度に優れる。 - Molecular Weight(分子量)
高分子のサイズを表す指標で、Mn(数平均分子量)やMw(重量平均分子量)で示される。 - Monomer(モノマー)
高分子を構成する基本単位となる小分子。 - Nanocomposite(ナノコンポジット)
ナノスケールの無機粒子を分散させた高分子材料。 - Nylon(ナイロン)
ポリアミド系の合成繊維で、強度や耐摩耗性に優れる。 - Polycarbonate(ポリカーボネート, PC)
耐衝撃性と透明性が高い熱可塑性樹脂。 - Polyethylene(ポリエチレン, PE)
最も一般的な熱可塑性樹脂で、低密度(LDPE)と高密度(HDPE)がある。 - Polymer(ポリマー)
多数のモノマーが結合してできた高分子化合物。 - Radical Polymerization(ラジカル重合)
フリーラジカルを活性種とする重合反応。 - Recycling(リサイクル)
廃棄ポリマーを再利用するプロセス。 - Styrene(スチレン)
ポリスチレン(PS)の原料となる単量体。 - Solvent Casting(溶媒鋳型法)
ポリマー溶液を乾燥させて薄膜を作る技術。 - Thermoplastic(熱可塑性樹脂)
加熱すると軟化し、冷却すると硬化するプラスチック。 - Thermosetting Resin(熱硬化性樹脂)
加熱により架橋が進み、一度硬化すると再び軟化しない樹脂。 - UV Curing(紫外線硬化)
紫外線を照射してポリマーを硬化させる技術。 - UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)
高い耐摩耗性を持つポリエチレン。 - Vinyl Polymer(ビニル系ポリマー)
ビニル基(C=C)を持つモノマーからなるポリマー。 - Vulcanization(加硫)
ゴムに硫黄を加えて架橋させ、弾性や耐久性を向上させるプロセス。 - Wear Resistance(耐摩耗性)
繰り返し摩擦を受けても摩耗しにくい性質。 - Water Absorption(吸水性)
ポリマーが水を吸収する能力。 - Ziegler-Natta Catalyst(チーグラー・ナッタ触媒)
ポリオレフィンの重合に用いられる触媒。