ポリマーの評価方法と分析装置には様々なものがあります。以下に、主な評価方法と使用される分析装置を分類して紹介します。
1. 分子量・分子量分布の評価
- ゲル浸透クロマトグラフィー（GPC）/ サイズ排除クロマトグラフィー（SEC）
- 装置: GPC/SECシステム + RI（示差屈折率）、UV、MALS（多角度光散乱）、粘度計検出器
- 目的: 分子量分布、平均分子量（数平均分子量 Mn、重量平均分子量 Mw）
- 光散乱法
- 装置: 静的光散乱（SLS）、動的光散乱（DLS）
- 目的: 絶対分子量の測定、粒径測定
2. 化学組成・官能基の分析
- フーリエ変換赤外分光（FT-IR）
- 装置: FT-IR分光光度計（ATR、透過法）
- 目的: 官能基の定性分析
- ラマン分光法
- 装置: ラマン分光計
- 目的: 分子構造解析、結晶性評価
- 核磁気共鳴分光法（NMR）
- 装置: NMR（¹H NMR、¹³C NMR、固体NMR）
- 目的: 化学構造、立体構造解析
- X線光電子分光（XPS）
- 装置: XPS（ESCA）
- 目的: 表面の化学状態、組成分析
- 元素分析
- 装置: CHNS/O元素分析装置
- 目的: 炭素、水素、窒素、硫黄、酸素などの組成分析
3. 熱的特性の評価
- 示差走査熱量測定（DSC）
- 装置: DSC
- 目的: ガラス転移温度（Tg）、融点（Tm）、結晶化温度（Tc）
- 熱重量分析（TGA）
- 装置: TGA
- 目的: 熱分解温度、残留率
- 熱機械分析（TMA）
- 装置: TMA
- 目的: 熱膨張係数、軟化点
- 動的粘弾性測定（DMA）
- 装置: DMA
- 目的: 力学特性の温度依存性、ガラス転移温度の詳細解析
4. 機械的特性の評価
- 引張・圧縮試験
- 装置: 万能試験機（UTM）
- 目的: 引張強度、伸び、弾性率
- 衝撃試験
- 装置: アイゾッド衝撃試験機、シャルピー衝撃試験機
- 目的: 衝撃強度
- 硬度試験
- 装置: デュロメータ（ショア硬度）、ビッカース硬度計
- 目的: 硬度評価
5. 流動特性・粘度評価
- キャピラリーレオメータ
- 装置: キャピラリーレオメータ
- 目的: 高温での流動特性、押出成形性
- 回転粘度計
- 装置: ブルックフィールド粘度計、コーンプレート粘度計
- 目的: 粘度測定
- 動的粘弾性測定（DMA）
- 装置: DMA
- 目的: 周波数依存の弾性率、粘性率測定
6. 結晶性・構造解析
- X線回折（XRD）
- 装置: XRD（粉末X線回折装置）
- 目的: 結晶性、結晶構造
- 偏光顕微鏡（POM）
- 装置: 偏光顕微鏡
- 目的: 結晶形態観察
- 透過型電子顕微鏡（TEM）
- 装置: TEM
- 目的: 微細構造解析
- 走査型電子顕微鏡（SEM）
- 装置: SEM
- 目的: 表面形態観察
7. 分解・劣化評価
- 紫外線劣化試験
- 装置: キセノンアークランプ試験機、ウェザーメーター
- 目的: 紫外線による劣化評価
- 熱劣化試験
- 装置: 恒温槽、TGA
- 目的: 熱分解挙動、酸化安定性
- 化学劣化試験
- 装置: pH試験機、溶媒浸漬試験
- 目的: 酸・アルカリ・溶媒耐性評価
8. 表面特性評価
- 接触角測定
- 装置: 接触角計
- 目的: 表面の親水性・撥水性
- 表面粗さ測定
- 装置: 原子間力顕微鏡（AFM）、プロフィロメーター
- 目的: 表面粗さ解析